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「掛軸 小林巣居人」
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掛軸 小林巣居人
掛軸画家 小林巣居人は、素朴かつ繊細な小林巣居人の作品は、決して派手ではありませんが、その分愛情に満ちあふれた心温まる作品が多いのが特徴とされています。茨城県稲敷郡長戸村に生まれた小林巣居人は、幼少の頃から絵画に親しみ、徐々に芸術への興味を持ち始めます。そして、小川芋銭に私淑した後にその紹介によって平福百穂と出会うことになります。小林巣居人にとって、日本画の父である平福百穂は後の彼の作品作り、画家人生に大きな影響を与えて行くこととなります。この平福百穂の元で、日本画を基礎から学び、そして精進していった小林は、再興院展に出品を続けます。横山大観なども出品している、高名なものだったのにも関わらず、小林巣居人は1937年に院友と共に脱退をしていしまいます。格式が高い分、その伝統的な芸術を守る姿勢に疑問を持ち始めた小林巣居人は「自由拘束なき新興清新なる芸術」を追い求めることとなります。結果、この「自由拘束なき新興清新なる芸術」の精神の元に新興美術院を設立。生涯をかけて、中心人物として活躍を続けて行きました。さて、そんな小林巣居人なのですが、茨城への思いは歳を取るに連れ増して行き、絵画のアイデアソースを茨城の田園風景に求めます。そのため、何気ない日常の1コマを切り取ったような…そんな、素朴な作品を生み出していくことになったのです。その中でも、小林巣居人の代表作とも言える「春雪」は、3羽の雀が春にまう雪を眺める本当に日常的な風景を描いた作品です。しかし、その淡いタッチと優しい色使い、さらには自然で嫌みの無い構図など、全てが完璧です。春の雪を黄色で表現し、より温かみを出した技法が彼の優しい心の内を感じさせてくれます。さらに、小林巣居人は上下巻長さ33メートルという長さの画巻「土機光象」を仕上げているなど、常に新しい日本画の境地を切り開いていきます。81歳でこの世を去った小林巣居人ですが、彼の芸術への思いはまだ消え失せてはいないはずでしょう。
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